フライング東上『一つ星たちの出会いのキセキその他の物語その他の物語』『スペースヒットパレード』感想

感想書くって宣言してから半年過ぎましたよ。コミケ前ですよ。この間何してたんだって言うと、空を見上げながら口をパクパクしてました。これは複数の方角に「感想を書く」言うなどしてタスクが重複した時に起こるバグです。近日中にアップデートで改善する見込みです。

 

 

 

『一つ星たちの出会いのキセキその他の物語その他の物語』

・メイプル戦記

楓さんと麹のお話。あまりにも力強い導入から始まるシュールなバトルストーリー。そして絶対これ最後の一言言うための前フリでしょ全部というくらいの力強いオチ。しかしよくもまぁこれだけ麹ギャグ考えたな

 

・乃々を探せ!レベル(花牌・竹)

一読して最初の感想が、これ版組とか大変だっただろうなというもの。いやそうでもないのか?そうでもないか。それにしてもよくこんなん書けるなと思った次第。140キロのフォークボールのようなSS。バット空振ってからあっ変化球だったって気付くやつ。

 

・表紙考

大人気コンテンツモバマス界といえども、漢詩での表現が見られるのはこの本くらいではなかろうか。まあ表現されているのは汚い渋谷なんだけど

作者の教養の深さが垣間見られる一作だけど、教養は他人を困惑させるために使うものじゃないですよ。学校で習ったでしょ。

表紙の考察はあんまりない。

 

・京都の夏は暑いだろう

さえしゅー。微妙に宮本も混じってる。

ここに来てどストレートの百合。しかも豪速球の部類。ダメでしょ緩急つけちゃ読者が困ってますよ。エ、エッチだし

拗らせて自滅する女良いですよね。良いと思います。

 

・フレデリカ奥の細道

一番笑った。芭蕉がフレPだったとは。また賢くなってしまった。

しかし考えてみると、宮本と俳句って相性良さそう。だって「フレデリカ」で五音で、「宮本」で四音。宮本の頭に三音で何かつければ、五七五の七五の完成ですよ。相性良すぎる。

芭蕉の心が壊れていく様子の描写が見事。ラストの脱力感も強烈。

 

・一つ星たちの出会いのキセキその他の物語

うづりん。再びどストレート。170キロくらいでど真ん中。芭蕉の後にこんなん来たら口開けながら見送るしかない。

 

 

 

『スペースヒットパレード

・乃々を探せ!レベル

自分で見えねぇのかよ〜〜〜!

 

・君を不幸にできるのは宇宙でただ一人だけ

ゆいちな。今度はここで豪速球。緩急つけるのはズルいって言ったでしょ。

見解が分かれるかもしれないゆいちな解釈だけど、個人的にはあり。いいですよね女のコンプレックス。好物です。

タイトルはスピッツだけど、スピッツって百合だったんだな

 

・時空DE ドーナツ

ときのりこ。時子様が法子の無邪気さというパワーに振り回される、という定番の関係だけど、そのバランスの傾きがだんだん大きくなっていく。オチの寒さに全毛穴が閉じた。

 

・なぞなぞ

どんなクソなぞなぞが飛び出してくるかと思ったら、思いのほか真っ当なおちんちんなぞなぞだった。

 

 

 

 

・総評

最高の二冊。人類は読むべき。

文章の節々から知性が溢れている。教養があるとこんなに面白い文章が書けるんだという勇気をもらえる。勉強しなければ。

それにしても、筆者の持ち玉があまりに多彩すぎて受け方に戸惑う。ダルビッシュと対戦するバッターの気持ちになるですよ。でもそういう緩急も含めた本全体の構成がある種の強い印象を残す要素になっているように感じる。読んでいて非常に楽しかった。

あと、巻末のあとがきは、こういうの大好きなのでどんどん書いてほしい。全部読む。

またイベントに行く機会があったら、その時また「フライング東上」の本が出ていたら、ぜひ購入したい。ただ日本海は全く知らないので次はもっとこう、どうかもう少し一般的なやつで何卒